昨年からハマっている女性シンガーがいる。

laura_branigan19laura-branigan2ーラブラニガン。80年代前半に人気を博したディスコ系、シンセPOP系の歌手である。その当時の人気歌手が今でも現役やリバイバルで現在の歌声を聴ける中、残念ながら彼女は2004年に47歳の若さで亡くなっている。

はまるきっかけは1年前のカッティングクルーやユニオンギャップをはじめとする60年代から80年代までのシングルレコード群の蔵出しである。レコードとともに88年〜96年にかけてのPOPシングルCD群(発掘の結果、我が家で最も古いシングルCDはカーリーミノーグの『愛が止まらない』だった??。)、そしてカセット音源をMD編集した懐かしいヒット曲群。80年代ではビッグカントリー・アルファビル・ローラブラニガンなどが次々と蔵出しされた。

 

MD編集してからも20ローラブラニガン年近く封印されていた『セルフコントロール』。録音当時はディスコソングとしてもヒットしていたので、結構聴く機会があった。懐かしくてYoutubeで聴いてるうちにみるみる嵌ってベスト盤を購入。それでもおさまらずアルバムをそろえる気になった。ベストを除くとオリジナルアルバムは7枚。すでに海外版しかないものもあり、「そのうち‥‥」では揃えるのが困難になる気もして一気に購入。

『Branigan』1982年 グロリア・オールナイト ウイズ ミーほか9曲

『Branigan2』1983年同 悲しみのソリティア・How Am Supposed to Live Without Youほか10曲

『Self Control』1984年同 セルフ コントロール・ラッキー ワンほか10曲

『HBranigan 005old Me』1985年 スパニッシュ エディ・フォーエバー ヤングほか10曲

『Touch』1987年 パワー オブ ラヴ・シャッタードグラスほか12曲

『Laura Branigan』1990年 月あかりに濡れて・ノープロミス ノーギャランティほか10曲

『Over My Heart』1993年 オーバー マイハート・オーバー ユーほか12曲


84IMG_4408年までは立続けにヒットアルバムを連発したが、これ以降シングルではまだヒットを放っているものの、アルバムチャートは下降の一途をたどったようだ。しかしベスト盤で後半の曲を聴いたとき、この人なら損はしないと確信した。否、惚れた女には損得なく貢ものである。袖の振れる範囲で‥‥だが。

ビートルズ・ウォーカーブラザーズ・キングクリムゾン・レベッカに次いで5人目のフルコレクトアーティストとなる予定だったが、亡くなった後に生前レコーディングしていた曲を再編集して遺作として限定リリースされた『リメンバーミー』だけは、プレミアがつき袖が振れない状況になっているのが残念。


オーバーマイハート思議だがオヤジが気にいったアルバムは、ほぼアルバムチャート順位と逆転している。一気に聴くと歌い方や曲の変化がはっきりわかる。もちろんヒット曲満載のアルバム『セルフコントロール』や『ブラニガン2』もよいのだが、最も気にいったのは『オーバーマイハート』と『タッチ』。

実質的に最後のスタジオ録音である『オーバーマイハート』はアルバムチャートにこそ出てこないが、完成度は高く、一番安心して聴ける1枚。タイトル曲であるオーバーマイハートはエリックマーティンの曲。よく聞く名前。確かに日本人好みって感じの必聴の癒し系バラード。


タッチッチのオープニングであるオーバーラヴとシャドゥオブラヴは聴いていると身震いしてきてしまう。ローラ演歌炸裂だけど、それまでのアルバムと比べても歌い方に深みと余裕が出てきているって感じ。





ローラブラニガンいで『ローラブラニガン』かな。『月あかりに濡れて』なんてディスコティックのりのりで結構いいんだけどね‥‥。静と動が対照的なアルバム構成だが、際立ったバラード2曲『Never in a Million Years』と『No Promise, No Guarantee』はピーターウルフのプロデュース。ライツアウト懐かしい




オリジナルヒットはもちろんあるが、結構他のアーティストのカバーでヒット曲を出している。たった1曲からここまではまった裏には、ほかの結構好きだった曲のカバーを知ったということもある。歌唱力というか独特の歌いっぱしで、オリジナルっぽく仕上げてしまうのも魅力である。

『Forever Young』:やはりアルファビルが最高だが、こちらはシンセだけでなくエレキアレンジも取り入れてよりPOPに仕上げられている。

『Power Of Love』:セリーヌデュオンのバージョンは知っていたが、ローラバージョンも圧巻の歌唱力だ。半端ない。やはりただのアイドル歌手じゃない。

『時の旅人』『思い出にできなくて』:ローラは『竹内まりや』や『岡本真夜』のカバーも歌っている。オリジナルがいい曲だということもあるが、オリジナルの美しいメロディーラインを崩すことなくローラ演歌にうたいあげられている。

変わったところでは『TOKIO』:日本でのオリジナル版らしい。東京ガスCMソングとのことだがオヤジは聴いた記憶がない。ヒットチャートにすら出ていないが、コイツは泣けるくらいいい曲である。

当時Branigan 003の『Self Control』のウォオオ〜にはまった時にもう少し突っ込んでいたら、シンディーやマドンナ、レベッカなどと青春の思い出に残る一コマを飾るBGMを奏でていたかもしれない。しかし逆に、自分の中で当時たった1曲だけで済ましてしまっていた手つかずシンガーが、これほど深い奥行きを持っていたことに今感動を新鮮に味わうことができているのはよかったことなのかもしれない。

 映像などはむしろ現在のほうが多様に見ることができるから当時より情報は豊富である。

 

Branigan 002来シンディーローバーやNOKKOのようなロリ声が好みのオヤジであるが、このローラ演歌というべきハスキー掛かったビブラートの利いた太い声に魅せられてしまった。シャウト調のヒット曲が多いが、自身はバラードが好きといっていたようで、聴かせる曲の持ち味は流石である。

 

 

 

 

Branigan 001人ではあるが、みる画像によって別人のように変化があり本等の顔つきがわからなくなったりする。172cmは外人女性でも背が高い方だろうが、実際以上に大柄に見えるスタイルは、スレンダーとかプチグラマーといったアイドル系ではなく、アスリートみたいである。そしてその容姿は時として女神像のように端正かと思うと、時に女子プロレスラーみたいなアクションを見せたりもする。静と動、知的さと妖艶さを持ち合わせているのがまた魅力的である。




存命ローラブラニガン2ならば62歳、現役ではないにしても現在でもステージに出る姿を見ることはあったろう。歌手でなくても舞台女優として頑張っていたかもしれない。47歳という若さで亡くなられたことは悔やまれるが、若い映像や歌声のみが残ることは、正に彼女の歌う『Forever Young』そのものだろう。

80年代POPって今聴くととても新鮮である。そんな時代の中でも異彩を放ったアーティストの一人がローラブラニガンである。