mikadoroid18たまた懐かしい映画。
1991年の東宝の短編SF。タイトルからすると何かとてつもないおそれ多いもんが出てくるのかと思ってしまうが、ストーリーの中にタイトルの名称・呼称はいっさい出てこない。

ジャンルは『ホラー』になるようだ。
劇場公開されないOVだった。

主役ともいうべき怪物は『百二十四式特殊装甲兵ジンラ號』。鉄人同様、帝国陸軍の極秘兵器として開発されたが、戦況逼迫により研究施設ともども廃棄処分になった改造人間兵器である。

mikadoroid2トーリーは昭和20年3月10日から始まる。東京憲兵隊により抹消されるはずだったジンラ號計画は、あの運命の日の悪夢「東京大空襲」により研究施設、被験体ともに地下深く取り残された。
この映画で最もインパクトが強かったシーンは、実は冒頭ほんの数十秒間流れる勝鬨橋をバックにした東京大空襲のシーンである。あくまでも伏線であるこれだけが何か妙にリアルに感じる。





それmikadoroid4から45年、時代はまさにバブルの絶頂期に、この施設の上に建てられたビルの漏電によりこの殺人兵器が目覚めることになる。ビルの地下にあるディスコから帰る若者たちが次々に襲われる。
そしてついに姿を現わす『ジンラ號』。ホラー映画というなら『マタンゴ』のほうがはるかに怖い。
元々はゾンビの設定だったそうだ。でもオヤジはこちらのほうが好きだ。
落下傘を装備しているから空挺隊のように敵地に降下させるのだろうか。見境なく殺傷するから敵地に落としてから起動させないと大変なことになる。



地下駐車場に取り残され、追い詰められた彩子(洞口依子)と冨田(吉田友紀)の前に突然現れてジンラ號を迎え撃つ二人の男。彼らはジンラ號とともに生体実験で不老の体を与えられた被験体だった。3人は親友で、ともに東京オリンピックの競泳代表として競い合ったライバルでもあった。
ここでいう東京オリンピックは1964年の東京大会のことではない。その24年前、アジア初のオリンピックは帝都東京での開催が決まっていた。大日本帝国の威信をかけて誘致したオリンピックは戦時下への突入とともに中止となった。
このことを知らないと、このドラマの奥行きが理解できない。

深夜とはいえ地下駐車場で短機関銃同士の銃撃戦をやったら周りがすぐに大騒ぎになるだろうという突っ込みは水を差すだけである‥‥

逃げ場を失った彩子と冨田は、ジンラ號が壁を破って出てきた地下壕の奥に迷いこんでいく。
そこはかつて3人が改造された旧帝国陸軍の秘密研究所だった。
ここでも、小さな地下通路くらいならまだしも、地下鉄や高層ビルの杭や地下インフラの密集した都心でこれだけの巨大な地下空間が残っていること自体が怪奇であるという突っ込みを入れてはいけない。

ジンラ號に追われて、地下壕の奥に追い詰められた二人の前で最後の戦いとなるかつての親友同士。ジンラ號となった鍋島と、自らの肉体内に隠し持っていた、必殺の武器でジンラ號とともに自爆しようとする岡崎(渥美博)。一瞬時間が止まるシーンである。
この壮絶なシーンにおよそにつかない切ないメロディーのBGMが流れていく。

mikadoroid16らの壮絶な自爆とともに秘密施設の大崩落が始まる。
いつの間にか全容を現した謎の装甲兵器。「なんでこんなのが出てくるの?」というような意表をついて出てくる。本土決戦に備えてのものだったのか。早く戦線に投入していれば戦局も変わったんじゃないかと思えるような虎の子である。
クライマックスはそれなりにすごい。ここだけ見るとSFだなーと思える。どことなく『海底軍艦』や『地球防衛軍』をオーバーラップさせるシーンだ。ここでも壮大な特撮とは裏腹のものがなしいBGMが流れていく。



最後は血だらけ煤だらけになった二人が座り込んだ朝の街をズームアウトしてドラマが終わる。

この映画で最も‥‥というか唯一印象に残っていたのがエンディングの字幕に流れるテーマ曲。単調なメロディーであるがなぜか心に刻まれるサウンドである。
この曲がなければ、おそらく25年前に一回見ただけで全く忘れ去っていただろう。

キャストは『洞口依子』・『吉田友紀』・『渥美博』・『伊武雅刀』・『毒蝮三太夫』。割といい俳優陣が出ている。
『洞口依子』一人だけでホラー映画として成り立ってしまうのがすごい。プロローグだけだが、伊武さんの迫真の演技が、単なるB級映画ではないような予感を与えてくれる。

監督は『原口智生』氏。映画には詳しくないので申し訳ないが知らない。
特技監督は『樋口真嗣』氏。この人は知っている。ガメラの人だ。

音楽はアニメ音楽界の鬼才『川井憲次』氏。といってもアニメに興味のないオヤジにはトンとわからない。
唯一知っているのは『ドリームハンター麗夢 首なし武者伝説』の音楽だ。あの音楽は好きだったからね。

結局25年間この曲が頭から離れずDVD購入となる。
ディアゴスティーニに出たのに気付いていれば、そっちのほうでもよかったかな‥‥でもオリジナル曲入りの分だけいい。
73分というどちらかというと短編的な映画だ。つくられた当時は戦争とバブルを正反対の対象ととらえていたのだろうが、今見るとどちらも現代日本の大きな負の遺産としてオーバーラップしている。



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