今回は懐かしい特撮巨大ヒーローもの。
『アアイアンキング 01イアンキング』。1972年放映の宣弘社作品である。
変身ヒーローものは1971年、特撮巨大ヒーローの『帰ってきたウルトラマン』と等身大アクションバトル系の『仮面ライダー』という2大双璧の登場により、当時の日本の子供のいる家庭のお茶の間を一気に席捲した。
『アイアンキング』は巨大変身ヒーローものの最盛期に企画された作品で、異星人や異次元人主流のヒーローの中で、巨大サイボーグ(筆頭はスペクトルマンかな)でも現科学者によって作られた少数系の部類に入る。
シルバー仮面がなんか暗くてあまり面白くなかったが、あの中世の西洋鎧のカブトのようなデザインが好きだった当時の親父が結構気にいってみていたのが後続作の『アイアンキング』である。
今見ても、この作品は明らかに他の巨大変身ヒーローとは一線を画す異色作品であることがよくわかる。

アイアンキング 06アイアンキング 12ず、『アイアンキング』とその前身『霧島五郎』は主役ではない。主役は国家警備機構のエージェント『静弦太郎』であり、『霧島五郎』はパートナーに過ぎない。巨大ヒーローが主役でない設定はPプロの『宇宙猿人ゴリ』があったが、こちらは終盤はタイトルも含めてオーソドックスに『スペクトルマン』に替えられていったが、『アイアンキング』は最後まで脇役のコンセプトが貫かれた。
その主役『静弦太郎』も反骨的で冷酷な面も持った、子供たちに優しいお兄さんヒーローではない。

アイアンキング 02に特撮巨大ヒーローものの定石である「最後に登場し、敵を倒す。」というパターンではない。
『アイアンキング』が単独で敵を倒すことはほとんどない。話の途中で現れ敵を倒せないまま、というより敵に痛めつけられ、わずかな時間で消えてしまう。後に『最も弱い巨大変身ヒーロー』の称号を受ける所以である。
まあ、話の都合上『アイアンキング』は源太郎がピンチの時、サポートするのが役目で、ウルトラセブンの『ウインダム(車じゃないぞ)』のようなものである。
敵にとどめを刺すのは生身の人間『静弦太郎』である。アイアンキングは敵はおろか周囲の人々にすら見向きもされない真に孤独なヒーローなのだ。唯一『静弦太郎』は自分のピンチを救ってくれるアイアンキングを信頼しているし、アイアンキングがピンチの時は身を顧みず助けたりもする。

さらアイアンキング 05に敵が変わり種である。最新メカの巨大ロボットを操る『不知火一族』は科学とは無縁のような古色蒼然とした集団。彼らは2千年の昔、大和朝廷に滅ぼされた一族の末裔であり、現在の大和政権を打倒すべく立ち上がった者たちであり、話は国つ神と天つ神の対立にまでさかのぼる。尤もそんな壮大なバックボーンがありながら『静弦太郎』を倒すことだけに固執しているところがちょっとせこいが、古代史マニア・古墳マニアにはたまらない設定である。但し、日本古来の民族が操るロボットは何故か西洋風であったが。




アイアンキング 11た、新たなる敵『独立幻野党』は革命革命と唱えているが、アラブの戦士風だかムスリムでもなさそうで、どんな政権樹立が目的なのかも不明である。こちらも現政府を『大和政権』と呼ぶ。『独立幻野党』は恐竜型ロボットを操り現政権を倒し新世間を打ち立てることが目的のようだが

『不知火一族』や『独立幻野党』とかどうも政治色や思想色の強い悪の集団である。しかも敵側から見ると現政権が悪の権化なのである。ユニークなかっこはしているが今見ると子供向けの悪役ではない。尤も『死ね死ね団』ほど強烈なアイデンティティはないが。

そして配役が異彩

アイアンキング 04人公『アイアンキング 03静弦太郎』は当時日の出の勢いだった『石橋正次』。特撮もののイメージには程遠いキャラだ。ドラマの中でも歌うシーンがよく出てくる。今考えると、喜んでみていたのは子供だけではなかったろう。

弦太郎のパートナーで、正体はアイアンキングである『霧島五郎』には往年の二枚目『浜田光夫』。霧島五郎はドジな三枚目だったが。そして最初のヒロインは『仮面ライダー』の森川千恵子。不知火一党の頭には任侠・時代劇の顔役『堀田真三』など錚々たるメンバーだ。そのほかゲストには岡崎友紀・夏純子・坂口良子など人気女優が出演していた。

特撮はちゃちかったが、キャストにはずいぶん予算を使っていたんじゃないか。

ストーリー展開も弦太郎と五郎の気ままな旅をしながら(実は不知火族の根拠地を探る旅なのだが)行く先々で不知火一党の罠をかわし倒していく。どことなく時代劇風のドラマ展開である。


アイアンキング 10ンディングの子門真人の歌う『ひとり旅』がとても好きであった。ストーリーの筋からいうとこちらがオープニングでアイアンキングの歌がエンディングでもよかったんじゃないかと思う。

アイアンキングのエンディング『ひとり旅』と、ファイアーマンの挿入歌『遙かな青い地底に』は、子門真人の隠れた名曲である。この『ひとり旅』なんて石橋正次の歌うギターバージョンあってもよかったのに。

30分番組なので、話がはし折られているのはやむ負えないが、石橋正次のキャラやエピソードを生かすには、1時間ものにしてバトルシーン以外の部分も掘り下げてもらいたかった。親父も含めた当時の子供には受けなかっただろうけど。特撮も現在だったらCGを使ってもう少しリアルになったろうから、その辺も含めて画像修正のリメイク版が見たいところである。


DVDアイアンキング 14アイアンキング 13を購入。久々に懐かしく夢中になった。

そろそろ変身ヒーローものから卒業しつつあった年ごろの親父にとっても、なんか決まらないヒーロー。場違い見たいな俳優さんが出ている。純粋に地球侵略の目的を持った悪役と勧善懲悪の変身ヒーローものとは違う一風変わった面白い作品であった。


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