また、古いレコードを引っ張り出して聴いている。Time of The Zombies 。
ゾンビーズ。ちょっと怪しい名前。名古屋周辺に出没するサイケなダンスグループちゃうぞ。60年代のブリティッシュロックグループである。
日本では、69年の大ヒット曲『二人のシーズン』が有名で、これはおそらく耳にした人は多いだろう。オヤジがこのシングルを買ったのは72年ころだったと思う。
シングルと同じころ発売されたアルバム『オデッセイ&オラクル』はプログレ系というか、いわゆるサイケデリックポップのはしりというような曲作りで、日本でも熱烈マニアがいるようだ。クリムゾン同様メロトロンを取り入れた、当時としては前衛的なサウンドだ。

ゾンビーズ1のアルバム『オデッセイ&オラクル』からシングルカットされた、『二人のシーズン』がミリオンセラーとなっているころには、ゾンビーズはすでに解散状態になっている。リーダーのロッドアージェントが、その後プログレ系サイケポップともいえるグループ『アージェント』を結成し、熱烈マニアの指示を受けていたが、オヤジがゾンビーズに求めたのはサイケやプログレではなかった。
オヤジが一番すきなのは64年のヒット曲、3枚目のシングルに当たる『恋はノー・ノー・ノー』。そう、ゾンビーズはリバプールサウンドなどに代表される。60年代初頭に結成されたグループなのである。ビートルズ・デイヴクラーク5・サーチャーズ・ゲリー&ペースメーカーズ・ホリーズ・ピーター&ゴードン・スィンギングブルージーンズなどなどとともにヒットチャートをにぎわしたポップ系グループなのだ。メンバーはロッドアージェント・コリンブランストーン・クリスホワイト・ポールアトキンソン・ヒューグランディの5人。当時の代表的ブリティッシュロック(リバープールサウンド)といわれたグループは、一通りは持っているが、そのなかでもゾンビーズは、サウンド、メロディ、ヴォーカルともに他のグループと一線を隔すものを持っていた。さしずめ今で言うと『ドリカム』のサウンドが明らかに他のアーティストのサウンドと一線を隔しているのと同じようなものだ。
多くのグループが、クラブなどでコンサートをしてお金を稼ぐ下済み時代を送っている中、エリート学生バンドとして華々しくデビューして、知的なイメージで人気を博したゾンビーズ。
そのサウンドは、コリンブランストーンのあま〜いマスクとボイスによって、より深くせつない雰囲気をかもし出す。
その真骨頂が『恋はノー・ノー・ノー』である。
このような曲を作る人たちが‥‥というより、このような曲がどんどん生まれる60年前半というのは、どういう時代だったのかと思いを寄せてしまう。もちろんオヤジが小学生にすらなっていないころだ。
初の大ヒット『シーズノットゼア』が全米1位に輝き、それに続きファーストアルバム『ビギンヒア』を発表。その後も『恋はノー・ノー・ノー』『ウーマン』『すきさ すきさ すきさ』『シーズカミングホーム』などのクリーンヒットを放つが、いずれも短命に終わる。その中で『すきさ すきさ すきさ』は、日本のGS『カーナビーズ』の「おまえのぉ〜すべぇてぇ〜」のフレーズで日本では『二人のシーズン』と並ぶ代表曲となっている。
そして67年に事実上の活動停止。活動停止後に発売された、前述アルバム『オデッセイ&オラクル』とシングル『二人のシーズン』がデビュー以来の大ヒットとなるのは、なんとも皮肉な結末である。

ゾンビーズ2父が所有していたのは、シングル『二人のシーズン』(その後譲渡)と、2枚組み『Time of The Zombies』。それと当時(72〜3年ころ)の日本で編集されたオールディズものの中にいくつか前期のシングル曲が挿入されている。
ゾンビーズのアルバムで紹介されるのは、前記した『ビギンヒア』と『オデッセイ&オラクル』の2枚のみ。それと外国版の『ビギンヒア』とシングルカットを集めたベスト版がある。
しかし、この『Time of The Zombies』というLPは謎である。当時ベストが欲しいと言って、行きつけの小さなレコード店で取り寄せてもらったもので、当時はリバプール的イメージで見ていたので、最初にジャケットを見たときはショックだった。これすごいサイケ!。中身も他に持っているリバプールものとは随分違っていた。しかしこれがベストアルバムだとずっと思っていた。
ある意味ベストといえるのは1枚目のAサイドのみだ。
当時は契約レコード会社との問題もあったのか、2枚組みのうちの1枚は『オデッセイ&オラクル』の挿入曲そのもの。もう1枚はシングルカットされた曲と未発表曲の混成版になっているのだ。
やはりオヤジの好きなのは、前期のシングルヒットものである。『Whenever You're Ready 』・『Summertime』・『すきさ すきさ すきさ(I Love You)』・『She's Not There』そして『恋はノー・ノー・ノー(Tell Her No)』など。
独特のメロディと透き通ったヴォーカルは懐かしさとともに、ある新鮮さをうける。たった1枚だが、ちょっと毛色のかわった1枚を大切に所蔵しているオヤジも『ゾンビマニア』の一人なのかもしれない。

最近でも、元メンバーによるリバイバル公演などがされているようだ。YOUTUBEにも投稿されているが、オヤジ的には60’ポップは子供のころの、感傷的なせつない思い出としておきたいので、あえてダウンロードもしていない。初期のヒット曲と、真骨頂であるサイケポップが凝縮されている、このアルバム1枚で十分なのである。

2013年6月22日 記

2013年7月26日 追伸
『Tennis』という夫婦デュオのカバーする
『恋はノー・ノー・ノー(Tell Her No)』を聴いた。
とてもまともなプロのスタジオ録音とは思えない荒削りだが、スッ極いい!!

女の人が歌うと、コリンブランストーンとはまた違う甘いせつなさがある。
『Tennis』って何者? 『Tennis』で検索すると出てくる女性はシャラポアぐらいだ‥‥


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